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小岩井 拓真*; Wimmer, K.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Barbieri, C.*; Duguet, T.*; Holt, J. D.*; 宮城 宇志*; Navrtil, P.*; 緒方 一介*; et al.
Physics Letters B, 827, p.136953_1 - 136953_7, 2022/04
被引用回数:4 パーセンタイル:74.12(Astronomy & Astrophysics)中性子過剰核Caでは、新魔法数34が発見されて以来、その構造を知るために多くの実験がなされてきたが、それを超える中性子過剰核の情報は全く知られてこなかった。本論文では、理化学研究所RIBFにてK, Ca, Caの励起状態から脱励起するガンマ線を初めて観測した結果を報告した。それぞれ1つのガンマ線しか得られなかったものの、KおよびCaのデータは、それぞれ、陽子のと軌道間のエネルギー差、中性子のと軌道間のエネルギー差を敏感に反映し、両方とも最新の殻模型計算によって200keV程度の精度で再現できることがわかった。また、1粒子状態の程度を特徴づける分光学的因子を実験データと歪曲波インパルス近似による反応計算から求め、その値も殻模型計算の値と矛盾しないことがわかった。
下出 敦夫*; 荒木 康史
Physical Review B, 103(15), p.155202_1 - 155202_8, 2021/04
被引用回数:2 パーセンタイル:17.05(Materials Science, Multidisciplinary)軸性磁気効果(Axial magnetic effect: AME)は軸性磁場がエネルギー流を誘起する、異常輸送現象の一種である。本研究では軸性磁場を含む相対論的ウィルソンフェルミオン、及び捻れのあるディラック半金属の模型において、AMEを数値的に調べた。バルク中ではAMEにより有限のエネルギー流が得られ、特に前者の模型の低エネルギー領域においては、このエネルギー流は場の理論による導出と合致した。その一方、どちらの模型においても系全体で平均すると、エネルギー流は表面の寄与によりゼロとなることが明らかになった。軸性磁場はゼーマン磁場の空間変調として解釈されるため、空間変調したエネルギー磁化を誘起する。本研究で扱ったAMEによるエネルギー流は、このエネルギー磁化に対応した磁化エネルギー流として解釈でき、したがって輸送測定では検出できない成分であると理解される。
Kong, L.*; Gong, J.*; Hu, Q.*; Capitani, F.*; Celeste, A.*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; Li, N.*; Yang, W.*; Liu, G.*; et al.
Advanced Functional Materials, 31(9), p.2009131_1 - 2009131_12, 2021/02
被引用回数:23 パーセンタイル:80.82(Chemistry, Multidisciplinary)有機-無機ハロゲン化物ペロブスカイトは非常に柔らかいために、圧力などの外部刺激により格子定数を容易に変化させることができ、有用な光電特性を引き出すのに有効である。一方でこの特性は、多少の加圧でも、格子を歪ませてしまい、光と物質の相互作用を弱め、それによる性能の低下を引き起こす。そこで本研究では、代表的な物質であるヨウ化メチルアンモニウム鉛に対して圧力効果および同位体効果を調べ、それらが格子歪を抑制することが分かった。このことは、それらが、これまで得られなかったような光学的,機械的特性を持つ物質を得る手段として有効であることを示している。
Sun, Y. L.*; Obertelli, A.*; Doornenbal, P.*; Barbieri, C.*; 茶園 亮樹*; Duguet, T.*; Liu, H. N.*; Navrtil, P.*; Nowacki, F.*; 緒方 一介*; et al.
Physics Letters B, 802, p.135215_1 - 135215_7, 2020/03
被引用回数:27 パーセンタイル:95.03(Astronomy & Astrophysics)カリウムは陽子数が19であるため、その, 状態はそれぞれ陽子の, 軌道の空孔状態によって支配されている。その中性子数をから増やすとこの2つの準位のエネルギー差は大きく変化することが知られており、中性子過剰核における殻進化と呼ばれる現象のプロトタイプとなっている。これまではまで知られていたが、この研究では、理化学研究所RIビームファクトリーにて、カルシウム同位体からの陽子ノックアウト反応によってKの励起状態を生成し、そこからの脱励起ガンマ線を測定することによって、におけるを測定することに成功した。歪曲波インパルス近似計算と実験で得られた断面積の比較から、, 状態は空孔状態によって支配されていることを確かめた。の値はで最小となり、そこから中性子数を増やすとともに増大することがわかった。これは、中心力とテンソル力による殻進化描像にしたがった振る舞いである。
大平 直也*; 斎藤 滋
Heliyon (Internet), 6(2), p.e03429_1 - e03429_8, 2020/02
被引用回数:4 パーセンタイル:39.14(Multidisciplinary Sciences)鉛ビスマス共晶合金(LBE)は高速炉や加速器駆動炉(ADS)の冷却材の候補である。フリーズシールバルブはこれらのシステムに受動的安全性を付加する機器と考えられている。一方、LBEは固化後に膨張する材料として知られており、LBE膨張により配管内に生じる応力を定量的に評価することが必要である。多くの研究者がこの膨張に関するデータを報告しているが、LBE膨張による歪みの評価はほとんど無い。そこでステンレス容器を用いたひずみ測定と応力評価、並びに光学顕微鏡による組織観察を行った。その結果、室温以上の温度で保持することが配管の歪みを大きく低減する有効な方法であることが示された。
小川 修一*; 吉越 章隆; 高桑 雄二*
Vacuum and Surface Science, 62(6), p.350 - 355, 2019/06
シリコン基板の熱酸化は、シリコンデバイスの作成に不可欠である。酸化膜が薄くなると酸化によって引き起こされる歪の影響が無視できなくなる。放射光リアルタイム光電子分光による酸化誘起歪と酸化速度の同時計測によって、酸化誘起歪の酸化反応に及ぼす効果を調べた。急激な酸化温度上昇による熱歪が、界面酸化速度を増加させることが明らかとなった。この結果は、歪発生に伴う点欠陥がSiO/Si基板界面の反応サイトとするモデルによって説明できる。
西村 昭彦; 寺田 隆哉; 竹仲 佑介*; 古山 雄大*; 下村 拓也
Proceedings of 22nd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-22) (DVD-ROM), 6 Pages, 2014/07
2007年より、原子力機構ではレーザー・光技術を用いた構造健全性の監視技術開発を実施してきた。超短パルスレーザー加工によるFBGセンサが最有力手段である。耐熱性を最も有効に活かすためにレーザー肉盛り加工により埋め込みを行った。ステンレス鋼材に溝加工を施した。熱源にはQCWレーザーを使用し、フィラーワイヤを溶接した。溶接ビードは良好なものとなった。FBGセンサはしっかりと固定されたが、反射スペクトルに劣化は認められなかった。FBGセンサは衝撃や音響振動を効果的に検出することができた。加熱により6nmの反射ピークのシフトが得られ、これは600度の温度上昇に相当する。FBGセンサを固定するための小型レーザー肉盛り装置についても紹介を行った。
土屋 勝彦; 木津 要; 高橋 弘行*; 安藤 俊就*; 松川 誠; 玉井 広史
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 16(2), p.922 - 925, 2006/06
被引用回数:1 パーセンタイル:11.94(Engineering, Electrical & Electronic)トカマク国内重点化装置における超伝導トロイダル磁場(TF)コイルの支持構造の最適化を進めている。プラズマ運転シナリオ上、最大の電磁力が加わると考えられる条件での応力や変位を、有限要素法解析により評価した。この評価に基づき、最も変位の低減に有効なコイルケースやシアパネルの配置を検討した結果、アウトボード側斜め下部において、コイルケースやシアパネル構造の増強を行えば、最も効率的に変位を抑えられることを見いだした。また、ボルトやキーの配置及び本数を調整して支持構造の簡素化を図り、構造物の応力/変位が設計基準を満たしていることを確認した。さらに、これまで未評価であった超伝導導体によって構成される巻線部に生じる歪みや、インボード部で巻線が受ける横圧縮力について、最大の電磁力荷重条件において評価した。その結果、導体長手方向の歪みは、熱処理時にコンジットから受ける歪みを緩和する伸び方向が顕著であり、導体の臨界電流劣化に寄与しないことがわかった。また、横圧縮力については、最大経験磁場の箇所で、ニオブアルミ素線の臨界電流値の劣化が始まると報告されている60MPa以下であった。このことから、現設計の支持構造は想定している導体性能に悪影響を及ぼさないことが確認できた。
木津 要; 土屋 勝彦; 島田 勝弘; 安藤 俊就*; 菱沼 良光*; 小泉 徳潔; 松川 誠; 三浦 友史*; 西村 新*; 奥野 清; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 16(2), p.872 - 875, 2006/06
被引用回数:1 パーセンタイル:11.94(Engineering, Electrical & Electronic)NbAl素線の臨界電流値(Ic)は歪みにより減少する。ケーブル・イン・コンジット導体(CICC)中の素線には熱歪みと曲げ歪みが加わる。しかしながら、JT-60定常高ベータ化計画のR&Dにおいてリアクト・アンド・ワインド法によって製作されたNbAl-D型コイルにおいては、0.4%の曲げ歪みが印加されてもIcは減少しないことが見いだされている。これは、素線の曲げ歪みがケーブル効果により緩和したことを示唆している。CICCのIcに対する曲げの効果を評価するためには、素線に対する引張り・圧縮歪みの効果と、CICC中の素線の歪み緩和効果を調査する必要がある。そこで本研究では、素線及びCICCサンプルに引張り・圧縮歪みを印加できる装置を開発した。サンプルはベリリウム銅製のねじりコイルばね形状のサンプルホルダー表面に取り付けられ、ホルダーをねじることで歪みが印加される。CICCサンプルを取り付け可能とするために82mm径のサンプルホルダーを製作した。NbAl素線サンプルのIcを外部磁場612T,歪み-0.86%+0.18%の範囲で測定することに成功した。外部磁場11T,歪み-0.86%でのIcは歪み0%の65%に減少することが見いだされた。
堀田 貴嗣
Progress in Ferromagnetism Research, p.19 - 38, 2006/00
マンガン酸化物における強磁性金属相は、遍歴電子と局在スピンの間の強いフント結合に基づく二重交換機構によって理解されてきた。そのため、長年にわたって、マンガン酸化物の金属強磁性状態の出現には、ホールドーピングが必要不可欠であると信じられてきた。しかし、最近、ヤーンテラー歪みと結合する軌道縮退ハバード模型に基づいて、ドープしていないマンガン酸化物においても、強磁性相で金属絶縁体転移が起こる可能性が理論的に指摘された。その結果を詳細に解説する。
Johannsen, N.*; Vasiliev, A.*; 大沢 明; 田中 秀数*; Lorenz, T.*
Physical Review Letters, 95(1), p.017205_1 - 017205_4, 2005/07
被引用回数:23 パーセンタイル:71.28(Physics, Multidisciplinary)磁場誘起相転移を示すTlCuClにおいて高分解能熱膨張及び磁歪測定を行った。その結果、格子変形が顕著な温度及び磁場依存性を示すことを観測した。これはこの系においてスピン-格子相関が重要であることを示唆している。また、相境界が圧力に対して極めて敏感であることがわかった。これらの結果は一軸圧に対するダイマー内相互作用の変化によるものだと思われる。ダイマー間相互作用に関しては、圧力によって基本的には変化しないが、TlをKに置換すると劇的に変化する。
西谷 智博; 中西 彊*; 山本 将博*; 奥見 正治*; 古田 史生*; 宮本 延春*; 桑原 真人*; 山本 尚人*; 浪花 健一*; 渡辺 修*; et al.
Journal of Applied Physics, 97(9), p.094907_1 - 094907_6, 2005/05
被引用回数:64 パーセンタイル:87.28(Physics, Applied)GaAs-GaAsP及びInGaAs-AlGaAs歪み超格子光陰極は50%を超える偏極度の電子生成を実現してきた。InGaAs-AlGaAs歪み超格子光陰極では高い量子効率0.7%を達成したが、その偏極度は775%であった。一方、GaAs-GaAsP歪み超格子光陰極では926%の高い偏極度を0.5%の高い量子効率で達成した。さらに、このような超格子光陰極を用いたときの高い偏極度の電子生成メカニズムを実験的に得たスピン分解量子効率により明らかにした。
朝岡 秀人
KEK Proceedings 2004-5, p.52 - 53, 2004/08
高集積化,多機能化が進む集積回路ではこれまでの材料の物理的限界が指摘されている。そして新たな物質検索を困難にさせているものが、ヘテロ成長における基板と機能性薄膜間での結晶構造,化学結合様式,熱膨張率などの物質固有特性の不一致である。本研究では、鍵をにぎると考えられるヘテロ界面の制御をSi基板表面の不活性化を通して試み、その界面の解析と、そこに存在する新たな結晶成長機構を明らかにすることを目指している。これまでに化学結合が露出するSi接合界面に水素終端処理を行うことによって格子不整合度による成長物質の制約が緩和され、不整合が12.0%と大きいためこれまで良質な薄膜が得られなかったSiとSrとの物質間で、ヘテロエピタキシャル成長に成功している。得られた薄膜の特性は遷移層を経ない基板表面への直接成長が可能であること,一般のSi基板上での成長と比較し、内部応力が小さくなり数原子層目からバルクの格子定数を有するストレスフリーの薄膜が成長したことを確認した。現在蒸着後の水素自身の挙動に注目し、中性子反射率計などを用いた評価を試みており、水素界面がもたらす新たな成長機構の解明を行っている。
Paul, N.*; 朝岡 秀人; Voigtlnder, B.*
Surface Science, 564(1-3), p.187 - 200, 2004/08
被引用回数:7 パーセンタイル:37.61(Chemistry, Physical)サーファクタント(界面活性剤)としてのBiの有無によるGe/Si(111)ヘテロエピタキシー成長機構の違いについて比較検討を行った。Geの格子定数はSiと比較して4%大きいためGe/Siヘテロエピタキシャル成長を行った際にストレスが生じ、成長形態に大きな影響を与える。第3の元素として用いたBiはSi基板上のGe成長時に表面偏析しサーファクタントとして作用する。Biの有無にかかわらずいずれもストレスの存在する2次元成長がはじめに見られるが、Biの存在するものはそのまま2次元成長を続け、Biのないものはその後3次元アイランドを形成してStranski-Krastanov(SK)成長モードに変化しストレスを解消する。サーファクタントによる2次元成長は平衡状態にいたる以前に原子の交換がうち切られるカイネティックな制限により生じると考えられる。
木津 要; 三浦 友史; 土屋 勝彦; 小泉 徳潔; 松井 邦浩; 安藤 俊就*; 濱田 一弥; 原 英治*; 今橋 浩一*; 石田 真一; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 14(2), p.1535 - 1538, 2004/06
被引用回数:1 パーセンタイル:11.55(Engineering, Electrical & Electronic)JT-60SCの超伝導トロイダル磁場コイル(TFC)製作においては、NbAl導体が歪による臨界電流()の減少が少ないために、より低コストなコイル製作を可能とする熱処理後巻線する方法(リアクト・アンド・ワインド法:R&W法)が適用可能と考えられる。しかしながら、曲げに起因するの減少を評価するためのデータが不足しており、核発熱などによる温度上昇に対するコイルの温度裕度を見積もることが困難であった。そこで、R&W法による導体の曲げの影響を評価するために測定部がTFC実機と同じR=1.06m(曲げ歪:0.4%)の曲率となるD型のコイルを開発し、を測定した。また曲げの寄与を明確にするために、曲げを加えていない短尺サンプルも製作した。コイル製作は、導体をR=2.13mの環状に成形した状態で熱処理を行い、その後、D型コイル形状に巻線を行った。D型コイルを温度(T)4.3-4.4K,磁場(B)7-12Tで試験し、30kA(7.3T, 4.4K)のを達成した。D型コイルと超伝導素線との比較より、導体の歪は-0.6%程度と見積もられた。これは、短尺サンプルと同程度の歪であり、0.4%の曲げはにほとんど影響を与えないことが明らかとなり、TFCをR&W法で製作した場合でも、設計基準の温度裕度を確保できることが見いだされた。
Paul, N.*; 朝岡 秀人; Mysliveek, J.*; Voigtlnder, B.*
Physical Review B, 69(19), p.193402_1 - 193402_4, 2004/05
被引用回数:21 パーセンタイル:67.06(Materials Science, Multidisciplinary)サーファクタント(界面活性剤)としてのBiの有無によるGe/Si(111)ヘテロエピタキシー成長機構の違いについて比較検討を行った。Geの格子定数はSiと比較して4%大きいためGe/Siヘテロエピタキシャル成長を行った際にストレスが生じ、成長形態に大きな影響を与える。第3の元素として用いたBiはSi基板上のGe成長時に表面偏析しサーファクタントとして作用する。Biの有無に関わらずいずれもストレスの存在する2次元成長がはじめに見られるが、Biの存在するものはそのまま2次元成長を続け、Biのないものはその後3次元アイランドを作製してStranski-Krastanov(SK)成長モードに変化しストレスを解消する。サーファクタントによる2次元成長は平衡状態に到る以前に原子の交換がうち切られるカイネティックな制限により生じると考えられる。
米田 安宏; 香村 芳樹*; 鈴木 芳生*; 濱崎 真一*; 高重 正明*
Journal of the Physical Society of Japan, 73(4), p.1050 - 1053, 2004/04
被引用回数:11 パーセンタイル:55.59(Physics, Multidisciplinary)強誘電体のドメイン観察をX線トポグラフィを用いて行った。強誘電体のドメイン境界には異なる格子定数をつなぎ合わせるために歪みが生じるが、この歪みを空間分解能の非常に高い放射光X線を用いることによって検知し、強誘電性ドメイン境界を可視化することに成功した。強誘電体のドメインに生じる歪みは結晶表面に生じるベンディングモードの原因にもなっており、このような微小な歪みの検知は強誘電体にとって非常に重要である。
堀田 貴嗣; Moraghebi, M.*; Feiguin, A.*; Moreo, A.*; 柚木 清司*; Dagotto, E.*
Physical Review Letters, 90(24), p.247203_1 - 247203_4, 2003/06
被引用回数:83 パーセンタイル:91.21(Physics, Multidisciplinary)ドープされたあるいはドープされていないマンガン酸化物における新規な基底状態スピン構造を解明するために、軌道縮退二重交換模型を平均場近似や数値的手法によって解析した。ドープされていない場合、E-型と呼ばれる新しい反強磁性相が、パラメター空間において、A-型反強磁性相に隣接して現れる。その構造は、最近の実験結果と一致する。この絶縁体的なE-型反強磁性相は金属強磁性相とも競合しており、これは、ドープされていないマンガン酸化物においても超巨大磁気抵抗が現れる可能性を示唆している。また、ドープした層状マンガン酸化物に対して、-型という別の新しい反強磁性状態を含む相図を得た。この新しい相の実験的検出についても議論する。
中村 彰夫; 吉井 賢資
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.160 - 163, 2002/11
螢石型二酸化ウラン(UO)はネール温度(T)30.8Kの反強磁性体である。前報において筆者等は、UOにこれに固溶しないTiO(x=1.0, 1.5, 2.0)系を混ぜ、高温で熱処理すると、Tはほぼ一定のまま、UOの反強磁性が弱強磁性へと変化していく挙動を示すことを見いだした。本報では、この反強磁性(AF)→弱強磁性(WF)移行挙動への洞察を深めるために、対象をM=Nb, V, Si等を含むUO-MO多相系へと拡げ、磁化率測定,粉末X線回折,EPMA分析等を用いて、検討を進めた。その結果、シリカ(SiO)等のd電子を有しない絶縁体を含む多相系においても他系同様このAF→WF移行現象は見られることがわかった。これらの実験事実から、本現象は、MOと密に接触したUO表面近傍での反強磁性転移に伴う格子歪み(酸素変位)の機械的抑制により惹起されるのではないかと現時点では考えている。
細野 史一*; 岩城 源三*; 菊地 賢一*; 石田 真一; 安藤 俊就*; 木津 要; 三浦 友史; 逆井 章
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 12(1), p.1037 - 1040, 2002/03
被引用回数:6 パーセンタイル:38.85(Engineering, Electrical & Electronic)核融合装置用トロイダル磁場コイルでは、超伝導コイルの大規模化から熱処理時の歪み劣化が小さいNbAl線材が着目されている。この良好な歪み特性を活かし、NbAl線材をコイルに採用すると、化合物生成の熱処理後に巻線作業(リアクト&ワインド法)が可能となる。このため、熱処理時間の短縮化,大規模な熱処理炉不要,製作工程の簡素化等の大幅なコスト低減が見込め、大型コイルへの適用が期待されている。定常炉心試験装置として計画されているJT-60改修では、NbAl線材のトロイダル磁場コイル適用のための設計・検討が進められている。そこで、JT-60改修計画に対応した銅比4のNbAl線材を、ジェリーロール法を用いて量産規模ベースで製造した。その結果、断線なしに11kmの線材を製造することに成功した。その諸特性について報告する。